父と奈良を散策
10月18日(土)天気は曇り空の中、
父 孝雄先生(佐藤事務所 会長)と奈良の寺院を巡る小さな旅に出かけました。
父は学生時代から仏像と寺院をこよなく愛し、青春18きっぷを片手に年に何度も奈良へ通っていたほどの“仏像マニア”です。若い頃は一人でもふらりと出かけていましたが、最近は足腰も弱くなり、今回は私が同行することに。
最初に訪れたのは、高畑の静かな路地に佇む「新薬師寺」。
薬師如来坐像と十二神将立像が並ぶ堂内は、撮影禁止ながらも記憶に深く刻まれる空間でした。父は干支にちなんだ神将の話を熱心に語り、私はその表情に、若き日の情熱がよみがえったような気がしました。
次に向かったのは「東大寺二月堂」と「戒壇堂」。
二月堂では、曇り空の下でも遠くまで見渡せる景色に心が洗われ、戒壇堂では四天王像の迫力に圧倒されました。父は戒律の話を静かに語りながら、堂内をゆっくりと歩いていました。
続いて「興福寺」へ。
国宝館では阿修羅像との再会を果たし、父はしばらくその前に立ち尽くしていました。何度も見ているはずなのに、まるで初めて出会ったかのような眼差しでした。
最後に「薬師寺」へ。
西ノ京の夕暮れに包まれながら、白鳳伽藍の美しさと、玄奘三蔵院伽藍の静けさに心を寄せました。父の歩幅に合わせながら、仏像と向き合う時間を共有できたことが、何よりの喜びでした。
佐藤千秋

